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ドキュメンタリ番組 言葉の違い

 3月25日に英国BBCで放映された1時間のドキュメンタリ番組のDVDが届きました。タイトルは「トヨタリコール」です。当然のことながらBBCは、日本のNHKと同じ性格のテレビ局ですからCMはありません。

 驚いたのはテンポの速さです。軽快音楽に合わせ、トヨタとトヨタ車に」関する映像を映し出し、その合間に次々とインタビユーを入れていきます。 そうこうしているうちに1時間はあっという間に過ぎていきます。日本のドキュメンタリ番組は、ゆっくりしたテンポで進むのとは対照的です。

 違いは言葉にあることがすぐ分かりました。インタビユーを始める前、デレクターから「ロンドンで翻訳しますから、できるだけゆっくり話してください」と注文を付けられました。もともとが早口の方ですが、この時は意識して翻訳しやすいように簡潔明瞭で話したつもりですが、時間がたつにつれ、早口になるのが自分でもわかりました。

 実際に放映された番組のDVDをみると、英語のコメンテーターと比べ、日本語で話した私の言葉がゆっくりしすぎて、番組のテンポに合わないような気がしました。トヨタの内山田副社長も同じ番組に出ていましたが、やはり同じ印象をもちました。

 日本のドキュメンタリー番組に外国人が出る場合、途中で吹き替えするケースが多いようですが、BBC之番組では、吹き替えなしで、音声が私の言葉をそのまま流し、英語の字幕で説明するやり方を取っていました。どちらがいいか分かりませんが、その国の言葉で話す方が、ドキュメンタリー番組では、それなりに迫力があるような気がしました。韓国のKBS放送の「KBSスペシャル」は、ハングル語が分からないためまだ見ていませんが、同じような印象を持つかもしれません。

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現地・現物、そして現実

 今日の日本経済新聞にトヨタの豊田章男社長のインタビューが載っていました。マスコミ嫌いの章男社長が活字媒体の個別インタビューに応じるのは初めてです。しかし新聞を読んでがっかりしました。これまで繰り返してきた域を全く出なかったからです。すべて抽象的で新鮮味はゼロでした。

 なぜトヨタの将来像を語れないのか。それは”現実”が抜けているからです。章男社長は就任以来、現地・現物を呪文のように唱えています。現地・現物はしょせんモノづくりの心構えの問題です。私が現役の新聞記者時代、ホンダの本田宗一郎さんが語ってくれたことがあります。

「モノづくり会社としてのホンダの原点は、現地・現物主義だとを言ったら、副社長(藤沢武夫さん)からこう言われました。”本田さん、それは違います。単に現地・現物主義なら趣味の域を出ません。事業には現地、現物に現実を加えなかったら成功しません”。ホンダは藤沢さんの考えを取り入れで現地・現物に現実を加え三現主義としたのです」

 この話をトヨタの大番頭だった花井正八に話したところ、「藤沢さんは経営の何たるかを心得ている。トヨタの場合、これに現金を加えた四現主義だな」と笑って言ったことを、今でも覚えています。それではなぜ花井さんが現金にこだわったのか。

「わしが現金にこだわるのは、財テクのためではないんです。万が一に備えてのためです。トヨタは上場している以上、株を買い占められても少しもおかしくない。それに対抗するには、余裕資金をすぐに現金化できるようにしておかなければならない。だから短期でしかまわさないのです。余裕資金が2兆円もあれば誰が社長になってもトヨタの財務基盤はびくともしない」

 世界の自動車産業は流動化しており、トヨタ包囲網は着々と進んでいます。今の株価からすれば、中国マネーやオイルマネーがトヨタ株の買い占めに入ったらとよたといえどもひとたまりもありません。章男社長はインタビューの中で、「台数より品質 徹底」とまだノンビリしたことを言っいます。世界の自動車産業の潮流に背を向けていたら、トヨタは間違いなく時代に取り残されてしまうでしょう。

 日経のインタビューは一面のほかに企業総合面にも掲載されているが、皮肉にも企業総合面の脇にルノーとダイムラーの提携交渉に日産も参加する憶測記事が載っています。主見出しは「日産、規模の追求狙う」とありました。自動車メーカーの成長と利益の源泉は、何といっても規模の拡大にあります。これを否定したら自動車メーカーの経営は成り立たちません。 章男社長はインタビューの中でこうも言っています。

 「品質を高めればコストが下がるというのが本質論だ。両者を別々に考えてはだめだ。安全、品質、量、コストの段階を一つ一つ上がっていくのではなく、全部を達成しなければならない」

 こうなるともはや分裂症としか言いようがない。 章男社長の頭の中には現実がないから、自分の言っている発言に整合性がないのでしょう。

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目には目を、歯には歯を

 先日、自動車アナリストの皆さんと話し合う機会がありました。皆さんが注目しているのは来期のトヨタの業績でした。私はアナリストでないので、来期の業績は分かりません。ホンダや日産の業績は順調に回復しています。ところがトヨタは大量リコールの問題もあり、まったく予測はつきません。

 アナリストの皆さんの感触は、01年3月期の最終利益は2000億円や3000億円では話にならないとのことです。最低でも営業段階で1兆円、最終利益は5000億円出なければ、トヨタ株は推奨できないようです。この数字はまだ最盛期の半分以下です。

 トヨタのリコール問題は確かに峠は越しましたが、苦難の道はこれから始まります。米国市場の販売は1月、2月ともトヨタの独り負けでした。3月は巨額の販売奨励金を投じたこともあり、前年同月比を上回るでしょう。工場の操業率を高めるにはやむえない措置ともいえます

 こうしたやり方は麻薬以外の何もでもありません。長続きしません。この手法で無理矢理売っても、GMのように単に図体だけが大きいだけの会社になり下がってしまいます。

 今にして思えば、今回のリコール問題は、人災だったともいえます。早めに対応しておれば、通常のリコールで処理できたはずです。それがトップがモタモタしているうちに、社会問題から政治問題になってしまいました。結果はトヨタのブランドに大きな傷をつけてしまったのです。ブランドイメージは単に安売りしただけでは回復しません。下手をすれば、イメージ悪化に拍車をかけることになります。

「目には目を、歯には歯を」のたとえ通り、政治にとって傷つけられたブランドイメージを、政治の力を借りて回復させるのです。具体的には4月1日に閉鎖を決めているMUMMIの操業を継続するのです。トヨタは昨年7月、GMが経営破綻したのを機に、経済性が薄れたこと理由に7閉鎖を決めました。た。

 NUMMIは確かにGMとの合弁会社ですが、生産車種の9割はトヨタ車を生産しているので、実施的にトヨタの工場です。工場を閉鎖すれば4700人の従業員は解雇され、NUMMIに部品や資材を納めているメーカーだけでなく、輸送業者なども影響を受けます。NUMMIの閉鎖に伴って、影響を受ける人は家族も含めるとゆうに10万人を超すという試算もあります。カリフォルニア州は全米で5番目に失業率が高い州です。もしトヨタが閉鎖を撤回すれば、地元から大歓迎されるでしょう。

 NUMMIのフレモント工場は古く、すでに設備は償却済です価値があるのは土地だけです。GMとの譲渡交渉は難航が予想されますが、ここで政治力を発揮させるのです。GMは経営破たん後、実質的に米政府の管理下に置かれています。トヨタが閉鎖中止を決めたなら、それこそ章男社長がホワイトハウスに乗りこんで、GMの実質的なオーナーであるオバマ大統領に会い、そこで閉鎖中止を発表すれば、政治効果は抜群です。政治の圧力で失ったブランドイメージを政治の力で回復するのです。

 トヨタの一工場になったフレモント工場で、従来のカローラ、タコマに加え、ハイブリッドのプリウスを生産する構想を発表すれば演出効果は満点でしょう。リコールで失ったブランドイメージを回復させる第一歩となります。NUMMIはトヨタが国際企業に踏み出した出発点です。それこそ原点に返るわけです。GM提携を決断した豊田英二さんは現在96歳ですが、今なお健在で、入院先のトヨタ記念病院には、NUMMIの鍬入れ式の写真が飾ってあります。

 フレモント工場のあるカリフォルニア州はトヨタにとって金城湯池ともいうべき市場です。そこでまず信頼性を取り戻せば、間違いなく全米に波及します。閉鎖まで残すところ半月余り、果たして章男社長は決断できるだろうか。

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