国会が空転している。原因は菅首相が突如、自然エネルギーの全量を固定価格で買い取ることを電力会社に義務付ける再生可能エネルギー法案成立に意欲を持ちだしたたことにある。しかしこの法案は本末転倒である。枝葉末節と言ってもいい。理由は2つある。一つは新聞でも連日報道しているように自分の延命策。もう一つはソフトバンクの孫社長をはじめとする、再生エネルギー事業への参入を考えている企業が背後にいることだ。電力会社が全量固定価格で買い上げるのだからリスクなき参入、これほどおいしいビジネスはない。
いま政治がやならなければならないのは、エネルギー基本計画の見直しである。03年に制定された基本計画は、07年に第一次改定、菅内閣が発足した直後の昨年6月に第二次改定した。骨子は原子力発電への依存率を高めることだ。福島第一原発事故を機に、基本計画の見直しは必至である。当然のことながら原子力位置づけも変わってくる。ただし、見直しは福島第一原発が冷温停止しなければ進まない。
その前に再生エネルギー法案が成立してしまえば、整合性が取れなくなり、日本のエネルギー政策が混乱するだけである。ここは時間をかけてエネルギー政策を見直しを進め、原子力や再生エネルギーを位置づけをはっきりさせることである。