昨日、日本自動車工業会の総会があり、その後、懇親パーティがありました。昨年はリーマンショックの影響で懇親パーティは開かれませんでした。今回の総会でトヨタの豊田章男社長が副会長に選出され、懇親会の会場の入口で、会長や他の副会長とともに立例をしてました。ところが立例の時間が過ぎると、章男さんだけが、会場を逃げるように去ってしまいました。会長や他の副会長は会場で出席者にあいさつ回りをしていました。
自工会の懇親パーティには大勢の国会議員が押し寄せるので有名ですが、章男さんがいないのでブーイングの連続でした。懇意にしているトヨタの役員に、なぜ章男さんが懇親会に出ないのか尋ねましたが、「あの人は社内にも絶対に自分の行動を知らせません。海外に行っても、われわれは新聞を見て知るのです」という返事がきました。
案の定、今日の夕刊に「豊田、米で電気自動車生産」の記事ガ載っていました。現地で提携先の社長やカリフォルニア州知知事と記者会見してました。しかし章男社長は民間のエアラインではなく、専用ジェット機でいくのですから、懇親会に出る時間は十分あったはずです。
私が驚いたのは提携の内容です。提携先のテスラ・モーターズはベンチャー企業で、高級電気スポーツカーを生産しているメーカーです。スポーツカーの時代はすでに過ぎ去り、米国における需要は年間1万台もありません。テスラは電池にパソコンで使っているリチウム電池を搭載して、これまで1000台ほど販売しております。専門家に言わせれば、ニッチのそのまたニッチメーカーです。この企業に2%出資(45億円)してもあまり意味がありません。逆に利用されるのがオチでしょう
出資にあたり、会長の張さんが大反対したようですが、章男さんは強引に押し切ったようです。トヨタに取って45億円ははした金ですが、問題はトヨタがこの種のクルマを手掛けるべきかどうかです。
章男さんの鶴の一声で、原価が1台1億円、売価が3700万円の高級スポーツカーを作ってみたり、ニュルブルクリンク24時間耐久レースで自分でハンドルを握ったり、彼は経営者ではなく単なるクルマおたくです。今回の提携もその延長にあります。トヨタの社員は「うちはいつのまにかニッチメーカーになり下がってしまったのですかね」と嘆いていました。
3月16日にこの欄で「目には目を、歯には歯を」をかきました。この中でトヨタが米国でイメージアップを図るには、「NUMMIの工場閉鎖を撤回し、ここでハイブリッド車を生産すべき」と書きました。テスラとはNUMMMIの跡地を使って生産する計画ですが、アリ(テスラ)の脊中かに巨像(トヨタ)が乗ってみたところで、さしたる効果はありません。