Skip to content


「望郷と訣別を ― 国際化を体現した男の物語」

望郷と訣別を―国際化を体現した男の物語

望郷と訣別を ― 国際化を体現した男の物語

■ 表紙カバーのコピー
大宅賞受賞(書下し)第一作
若き日に欧州でユダヤ商法を学び、
苦難を乗り越え香港、中国で経営の現地化を成功させた。
愛憎半ばする日本に訣別した石井次郎の半生が、
日本企業の進むべき道を提示する。

■ 裏表紙カバーのコピー
日 本的経営が足かせになりつつある。国際化時代には変化に対する素早い対応と迅速な決定が求められる。「望郷と訣別を」というややセンチメンタルなタイト ルは、日本企業が国際化をはかるには、石井さんのように日本の本社に媚びを売らず、現地に溶け込まない限り困難である意味を込めてつけた。(「あとがき」 より)

■ 著者解説
この本を書こうとした動機は、円の為替相場は1ドル=100円を突破して、日本企業が国際化を迫られたことにある。果たして日本企業や日本人は国際化できるのかを、具体的な企業と人物を通じて描き出すことである。
当初、ソニーと創業者の盛田昭夫さんの生きざまを通じて描き出そうしたが、取材に取り掛かる直前になって不幸にも盛田さんが病に倒れ、取材が困難になった。その矢先に通産省の産業政策局長だった内藤正文さんから貴重なアドバイスを受けた。

「世の中には奇特な人がいます。石井次郎さんといいます。わたしは先月石井さんに会って、日本人にもこんな素晴らしい人がいたのか、とびっくりしました。だまされたと思って一度香港に行って会って来たらいかがですか。佐藤さんのテーマにぴったりの人です」

こうして香港に行って石井さんに会いましたが、事実は小説より奇なりでした。

「お礼というのは、恩になった人だけに返すものではない。返すのは誰でもいい。困った人がおれば、救いの手を差し延べなさい。差し延べるには順送りなんだ」

石井さんが若い時期、デンマークを放浪している時に助けてもらった老人に言われた言葉です。私が驚いたのは石井さんがそれを実行して、中国で日系企業の駆け込み寺ともいうべき「テクノセンター」(日技城)を設立して、中小企業の中国進出を手助けしていることだった。
テクノセンターでは石井さんの提案で、毎年夏、早稲田、慶応、一橋を始め日本の十数の大学からインターンシップとして学生を受け入れている。
文 庫本の解説を書いてくれた一橋大学教授の関満博教授のゼミを始め、殆どの大学では、テクノセンターにインターシップ(就業体験)に行く前に、この本を読 むことが義務付けられている。インターシップを体験した学生はすでに600人を超えている。この作品は1997年の講談社ノンフィクション賞最終候補作品 となった。

発売日:1997年2月
出版社:文藝春秋
単行本:493ページ
ISBN4-16-352550-5

このページの上へ戻る ↑

Posted in 01 単行本.